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利権とムラ社会

 最近テレビの番組で、行政改革や官僚の天下りが話題になると、決まって「利権」「ムラ社会」という言葉が登場し、組織を守ろうとする人たちを、組織に巣食うダニとして糾弾する傾向が見られる。
 25日に朝日放送のTVタックルを見ていたら、全日本女子柔道の暴力事件が取り上げられていた。
女子柔道の監督が男性で、コーチにも女性がいないことが指摘されて、なぜ女性の指導者が出てこないのかという問いにあるスポーツ評論家が、これも「利権」だと言っていた。つまり、これまでの男社会の柔道人脈の中で、オリンピック代表選考や就職の世話ができたりして、自分の影響力を行使できるという利権だ。これによって自分に絶対服従させられるという。そして、これら指導者はオリンピックや世界選手権のメダリストで占められていて、その利権を守ろうとする「ムラ社会」を作っているのだという。
 利権やムラ社会という言葉が頻繁にマスコミに出るようになったのは、みんなの党党首の渡辺喜美と、元キャリア官僚で、福田内閣当時、国家公務員制度改革推進本部で「年功序列人事の廃止」「天下り規制の強化」「事務次官廃止」など急進的な公務員制度改革に取り組んだ古賀茂明氏によるところが大きいと思われる。確かに改革を実行しようとすると、現状を守ろうとする守旧派と改革派の軋轢が生じることは事実である。しかし、それらをすべて「利権」、「ムラ社会」がらみで裁断することに違和感を覚える。改革に消極的な人間が、自分にとっての損になるから抵抗している、またそういう人間が徒党を組んで反対しているという印象を国民に与えている。福島原発事故による原発政策の見直しなど「原子力ムラ」が抵抗しているという構図だ。このような単純な図式は、国民受けはいいかもしれないが、改革の本質を見落とすと思われる。もっと冷静な議論が必要ではないか。
 逆に言えば、反原発を主張している人間は、そこで新たな利権を得ようとしているし、公務員改革を叫ぶ改革派の人間は、改革することでまた別の利権を手に入れようとしているとも言えるのだ。これらの利権あさりが改革といえるものではないか。
 マスコミは守旧派を利権の温床に巣食うダニと断じるならば、改革派もまた、新たな利権の漁り屋と断じたらどうか。
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